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Polyphonic Synthesizer for Raspberry Pi Pico

pico_synth_ex v0.1.0 (2021-09-02)

概要

Raspberry Pi Pico用のポリフォニック・シンセサイザです．

『Interface 2021年8月号』で解説されているモノフォニック・シンセサイザ（プログラム9）を拡張して，

• 4和音演奏の実現
• 2個目のオシレータ，LFO（低周波発振器），EG（包絡線発生器）の追加
• オシレータのピッチ微調整対応

といった「本格的なシンセサイザに近づけるための対応」を試みました．

動作環境

このプログラムは，

• Pimoroni Pico（ブートROMバージョン1（RP2040 bootrom B0 version））
• Pimoroni Pico VGA Demo Base基板（PWMオーディオ出力に使用，市販品）
• Raspberry Pi Pico C/C++ SDK version 1.1.2
• GNU Arm Embedded Toolchain Version 9-2019-q4-major（gcc-arm-none-eabi version 9.2.1）

の組み合わせで動作確認しています．

ビルド方法

1. pico_synth_exディレクトリにpico-sdk/external/pico_sdk_import.cmakeのコピーを置く．
2. 環境変数PICO_SDK_PATHにpico-sdkディレクトリへのパスをセットする．
3. buildディレクトリを作成し，pico-examplesと同様にcmakeやnmake（make）コマンドでビルドを行う．
4. pico_synth.uf2ファイルが出力される．

仕様

• 部品構成：（2オシレータ ＋ 1フィルタ ＋ 1アンプ ＋ 1 LFO ＋ 1 EG）× 4セット
• 制御方法：UART通信（115200bps）　※MIDIやUSB MIDIには未対応
• オーディオ出力：PWM（GPIO28，PWMキャリア周波数：48kHz，サンプリング周波数：48kHz）
  • 市販品のPimoroni Pico VGA Demo Base基板を使用

コントロール方法

このプログラムは，UART通信で特定の文字（コマンド）を送信することでコントロールできます．

• 'q'，'w'，'e'，'r'，'t'，'y'，'u'，'i'：ド，レ，ミ，ファ，ソ，ラ，シ，ドの音を鳴らす（音域：**のドから1オクターブ上のドまで）
• '2'，'3'，'5'，'6'，'7'：ド＃，レ＃，ファ＃，ソ＃，ラ＃の音を鳴らす
• '1'／'9'：キーのオクターブシフト量を1下げる／上げる（-5～+4）
• '0'：全ての音を止める
• 'A'／'a'：オシレータの波形設定値を1下げる／上げる（0：下降ノコギリ波，1：矩形波）
• 'S'／'s'：オシレータ2粗ピッチ設定値を1下げる／上げる（+0～+24）
• 'D'／'d'：オシレータ2微ピッチ設定値を1下げる／上げる（+0～+32）
• 'F'／'f'：オシレータのミックス設定値を1下げる／上げる（0～64，オシレータ1と2のミックス・バランス）
• 'G'／'g'：フィルタのカットオフ設定値を1下げる／上げる（0～120，カットオフ周波数が約19Hz～約20kHzに変化）
• 'H'／'h'：フィルタのレゾナンス設定値を1下げる／上げる（0～5，Q値が約0.7～4.0に変化）
• 'J'／'j'：フィルタのEGからのカットオフ変調量設定値を1下げる／上げる（+0～+60）
• 'X'／'x'：EGのディケイ・タイム設定値を1下げる／上げる（0～64）
• 'C'／'c'：EGのサスティン・レベル設定値を1下げる／上げる（0～64）
• 'B'／'b'：LFOの深さ設定値を1下げる／上げる（0～64，ピッチの変調量）
• 'N'／'n'：LFOの速さ設定値を1下げる／上げる（0～64，周波数が約0.2Hz～約20Hzに変化）

状態プリント例

Pitch             : [  60,  64,  67,  71 ]
Gate              : [   1,   1,   1,   1 ]
Octave Shift      :  +0 (1/9)
Osc Waveform      :   0 (A/a)
Osc 2 Coarse Pitch:  +0 (S/s)
Osc 2 Fine Pitch  :  +4 (D/d)
Osc 1/2 Mix       :  16 (F/f)
Filter Cutoff     :  60 (G/g)
Filter Resonance  :   3 (H/h)
Filter EG Amount  : +60 (J/j)
EG Decay Time     :  40 (X/x)
EG Sustain Level  :   0 (C/c)
LFO Depth         :  16 (B/b)
LFO Rate          :  48 (N/n)
Start Time        :   44/  47
Processing Time   : 2238/2242

参考文献

• 石垣 良；リアルタイム処理のために軽量化！シンセサイザの製作，Interface，2021年8月号，CQ出版社，pp.142-153．
  https://interface.cqpub.co.jp/magazine/202108/