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Book Review

本を読んだ感想を書くブログです。

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  • 各記事の下部にはリアクションボタンがあります
  • 各記事に紐づくDiscussionsページがあり、Discussionsページにコメントを書くこともできます

GitHub Releasesブログのセットアップ方法

このブログシステムを使いたい人向けのガイドです。

  1. このリポジトリをテンプレートにして新しいリポジトリを作成: https://github.com/azu/book-review/generate
  2. 作成したリポジトリの https://github.com/{owner}/{repo}/actions/workflows/setup.yml にアクセスし"Run Workflow"を実行する
    • 必要なラベルなどがセットアップされます
  3. [必要なら] リポジトリのSettingsからDiscussionsを有効にする
    • Discussionsをブログへのコメントする場所として利用できます

使い方

  1. Issueを作り、タイトルに書籍のタイトルを入れて、本文に感想を入れる
  2. Issueに"Status: Draft"のラベルを付ける
  3. GitHub Actionsが"Status: Draft"のIssueをまとめたDraft Releaseを作成する
  4. 公開したくなったらDraft Releaseを編集して、Publishすると公開され、DraftのIssueは閉じられる

機能

  • スクラップ機能
    • Issueごとにスクラップを書いて、Releasesでまとめて1つの記事として公開できます
  • ドラフト と 公開済みのライフサイクル
    • Issueが個別のドラフトになります
    • Status: Draft ラベルをつけたIssueをドフラトとして扱います
      • ラベルがついてないIssueは対象外となるので、ドラフトではないIssueも混在できます
    • Issueが編集されるたびにGitHub Actionsで、GitHub Releasesにドラフトリリースノートを作成します
      • このドラフトリリースノートには、その時点でStatus: Draft ラベルがついたIssueが全てまとめられています
    • ドラフトリリースノートをPublishすると、Status: Draft ラベルがついたIssueが全て自動でクローズされ、Status: Releasedラベルを付与します
    • このライフサイクルは.github/workflows/create-draft.ymlが処理しています
  • プロジェクト管理
    • GitHub Projectsを使うことで、ドラフトや公開済みのIssueを管理できます
    • Status: Draftラベル: ドラフト
    • Status: Releasedラベル: 公開済み
    • ラベルは setup.yml のworkflowを実行すると追加できます
  • テンプレート
  • タグ = ラベル
  • 画像/動画サポート
    • Issueにそれぞれアップロードできます
  • RSS
    • GitHub ReleasesのリリースノートはRSSで購読できる
  • GitHubと連携したWatchの仕組み
    • GitHubアカウントを持っているならWatchで購読できる
  • コメントシステム = Discussion
    • リリース時に"Create a discussion for this release"を選択することでコメント欄として使えるDiscussion連携ができる
    • また、リリースごとにリアクションも設定できる
  • 共同編集
    • リポジトリに書き込めるユーザーを制限することで、執筆者を管理できます
    • Issueを編集すれば、共同編集ができます
    • Issueを立てた人が、そのIssueの執筆者となります
  • 著者表記
    • 記事中で @azu のようにMentionを入れると、自動的にContributorsとして記事の下部に表示されます。
  • 検索
  • Markdown
  • アクセス解析
    • Insight > TrafficからPV数を確認できます
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    • GitHubが自動的に生成してくれます
  • ワークフロー
    • GitHub Actionsで on: release のWorkflowで公開時にWorkflowを実行できます
    • リポジトリのWebhook設定で Releases のWebhookを設定できます
    • e.g. 記事を公開するときにSNSにポストするなど

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book-review's Issues

脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき

脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス) | 毛内拡 | 科学・テクノロジー | Kindleストア | Amazon

実際に脳の研究してる人が書いたっぽいので読んだ。
この本もBrain BLAST!: 健康な脳のカギを握る脳の中のメタコミュニケーション - YouTubeみたいなアウトリーチの一貫として書き始めたらしい。

  • 脳、細胞、神経の動きについてどのように研究されてわかってきているのか、結構順序立てて書かれて面白かった。
  • 脳のシナプス、ニューロンの動き
  • 脳にはシナプスがびっしりというわけではなく脳にも「すきま」が存在して、そこに間質液と呼ばれる無色透明の体液が流れてる
  • いままでの研究手法だと、観測しようとしたときに間質液が蒸発?してしまって観測できてなかったのが原因で面白い
  • 電子顕微鏡の技術が発達したとことで、いままで認識できてなかったものが認識できるようになったという話
  • この間質液と脳脊髄液とが日に循環して交換されているという仕組みをグリンファティック・システムと呼ばれるやつがあるという予測があるけど、まだ観測されてないので不確定

脳にはニューロンの他にグリア細胞というのがあって、ニューロンとグリア細胞の比率は半々ぐらいと言われてる。
このグリア細胞の話が面白かった

一昔前まで、ヒトでは、ニューロンとグリア細胞の比が1:50と言われていたこともあり、少なくともグリア細胞がニューロンの10倍以上存在するという説は根強く存在しているようです。巷の本やテレビ番組で言われている「私たちは脳の10分の1しか使っていない」

ニューロンとグリア細胞の比率が、脳はn分の1しか使ってないという話の由来になっているのでは?という話が面白かった。

脳の中の流れとかは実際に生きた状態で観測する方法がなかったりして、まだ確定してないことがあるので、それを観測できるようになると今まで言われてたこととは実際は異なるかもねって感じで良かった。
(実際に今までの予測と事実は違うことがあったりはしてた話もでてきた)

給料はあなたの価値なのか

給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く | ジェイク・ローゼンフェルド, 川添節子 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon

あなたの給料はなぜその額なのか?──『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』 - 基本読書がきっかけで読んだ。

給料の決定に関わる4要素

  • 権力(power)
  • 慣性(inertia)
  • 模倣(mimicry)
  • 公平性(equity)

この4要素が賃金の決定に関わる要素であるというのがこの本のポイントで面白いところだった。
1, 2章はこの辺のポイントが中心の話だったのでかなり面白かった。

何が給料に影響しているかというアンケートもとっていて(決める側、受ける側)、その回答とも比較していて面白い。

権力は、そのままでCEOの給料水準が高いとか、競業避止契約を後出ししてくるとか、免許保持者しか参加できない職業とかがこの権力の例。4つの中でこれが一番影響力が高い。

雇用主は交渉が終わってから、競業避止条項を持ち出すことが多いからだ。マークスによる電気技師の調査では、署名した人のうち、仕事のオファーといっしょに競業避止条項を提示された人は3分の1しかいなかった。半数近くの人は仕事をはじめるまで知らなかったという。ある人の経験が典型だろう。「事前に説明は一切なかった。出社初日に目の前に書類が並べられた。健康保険、401(k)、そして競業避止契約。署名して仕事をはじめるか、署名せずに去るかしかなかった」  それはあなたに対する権力である

権力の例だとこの話が特に良かった

この権力によってある程度給料が決まってくると、そういうものだという慣性が働き出して、給料は固定化される傾向があるという話だった。(交渉での振れ幅が小さくなる)

また、有名な組織がそういう賃金体系だからという感じで他の組織がこれを模倣して、業界全体で給料が固定されてくる。
これは、企業が別の企業の賃金調査をしてそれをまねる感じ。
アメリカだと50%が、前職の賃金を聞いてそれを新しい職場の初任給の交渉材料とされたというデータもあったりして、これも模倣の一種。(法的に禁止している州もある)
この模倣は、前職での格差も模倣してしまうので、差別による給料の格差を固定化してしまうことがあるというのがなるほどと思った視点だった。
この模倣は、他社がそうやっているからという感じで正当化に使いやすいので色々なときに起きているのだろうという話。

公平性という話が色々面白くて、人間の感情的なもの。
一つ例として面白かったのは、給料を下げるということは不公平感だと感じるため現実ではあまり起きないという話。
本当に需要と供給によって給料が決まっているなら、給料が上がることがあれば、給料が下がることもあるという理論モデルが実際に起きる可能性がかなり少ない傾向があるという話が結構面白い。
需要が少なくなったサービスにおける賃金は下がるはずだけど、実際には下がらないで維持される。
これは、実際に下げてしまうと給料を受け取る側は奪われたという不公平感を感じるため、士気が下がったり敵を作ってしまうから、経営者は下げることを避ける傾向があるという話。

賃金は、需要と供給から決まるというのは理論的な話に留まっていて、実際には賃金の低下は硬直性におきにくくなっている。そのため、需要と供給の理論とは異なる動きになっているという話 面白いなーこれ。
これの背景には人間の感情的な要素が関わってくるのか https://a.co/38bGM1G
-- https://twitter.com/azu_re/status/1493598502206722056

あと同じく公平性の話で同じ仕事をしてるのに、地域によって物価が異なるので、地域によって給料に物価を反映させるとこれを不公平と思う人もいるという話もちょっとなるほどと思った。
Location factorを給料に使ってる会社としてはGitLabが有名。(以前はLocation factor公開してたので、これを模倣してた会社もあったのが、模倣が要素ということを強調してる感じはした)

DHHがLocation factorは適正なのかという似たような話をしていた。こういうのを見てたので公平性が給料の要素に関わっていると言われてなるほどー思った。

権力(power)、慣性(inertia)、模倣(mimicry)、公平性(equity)の要素は、給料を固定化する方向じゃなくて、上げる方向に関わってる。
たとえば、同じ業界で他の会社がこれぐらい出しているという情報を理由で給料交渉したりするのも慣性/公平性あたりからきている感じがする。

一方で、これは情報を知っていることで行動に移せるという前提があって、情報を知らないと多くの人が行動に移せない(その給料が妥当なのかどうかは判断できないから。給料について話をするのを禁止することを禁止する法律の話も面白い)

情報が公開されていれば、それを使って交渉が働くようになる。(慣性が上昇の方に働く)
給料に関する情報が公開されると、同じ仕事をしていて低めに設定されている人はそれを不公平だと思って辞める可能性があったり、透明性の高い企業は同じ利益水準でも平均給料が高い傾向があるので企業にとっては負担があったりはするけど、給料についての透明性を上げると給料の格差(ジェンダーや色々な問題による格差)が減るという話は結構興味深かった。

日本でこういう給料の透明性について動いてる組織/団体/業界ってあるのかなーというのが気になった(募集)

とかも似たような背景があるのかなーと考えてた。

公平性はやっぱり感情的な話になるので、一つの答えはない気がする。
ただ、透明性を上げると歪なものは形を保ちにくくなる圧力になるんだなーと思った(何が歪なのは主観的なものだとして)。

この辺の話が1,2,3章ぐらいで面白い本だった。
他にも大学卒業と給料の関係性の話とか株価の最大化と格差の問題とか色々あって面白い。
本の後半はちょっとアメリカ特有の話題が多くなっていて、少し読みにくい感じがした。
ただ前半はかなり面白い書籍。

Linuxで動かしながら学ぶTCP/IPネットワーク入門

Linuxで動かしながら学ぶTCP/IPネットワーク入門

OSI 参照モデルを下から一個ずつ、LinuxのNetwork Namespaceとかを使ってコマンドを叩きながら動きを確認していく書籍。
pingがどうやってIPからIPへと伝わってるのか、ルータの役割とかを実際にシミュレーションしながら確認していく感じ。

手を動かす部分について

Kindleだとコピペができなくて結構不便だった(スペースがどこかに消えてしまう)。
叩くコマンドは似たようなものが多いので、スクリプト化するなり自動化も書籍でやったほうが効率が良さそうな気がした。
あと間違った場合の取消方法が載ってないので、結構打ち間違いのコストがでかくなっていた。

  • 続き読む

Working in Public

Working in Public

Stripe Press — Working in Public

Working in Publicは、オープンソースの開発とメンテナンス、資金についてよく調べられた書籍です。

オープンソース開発についての本読んでる "Stripe Press — Working in Public" https://t.co/Fy0DnwH6Po

— azu (@azu_re) February 14, 2023
<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

ここでのオープンソースは主に GitHub 以後に焦点を当てて書かれていた気はします。

オープンソースのアマチュア化

GitHub から始めた世代は、Open Source と Free Software のような違いのような部分に強い問題意識を持ってるわけではなく、ただ作りたいものがあって GitHub が便利だったから使ってるという話。
これを「オープンソースのアマチュア化」と呼んでるのが面白かったです。

特に JavaScript は、npm の小さなモジュールが多いため、この「オープンソースのアマチュア化」が進んでいるという話もありました。
JavaScript で有名な開発者は、Linux の Linus のように有名なプロダクトを紐づけて知られているのではないケースも多い。
たとえば、Sindre Sorhus や Kent C. Dodds のように特定のプロダクトというよりも、その人自体で有名になっているケースが多いという話。

オープンソース 「プロジェクト」

オープンソースコードじゃなくてオープンソースプロジェクトと呼ぶのは、コードだけではなく、コミュニティ、コード、コミュニケーションツール、開発者ツールの組み合わせ全体を指すという話。
これは確かにと思った。自分が OSS じゃなくてオープンソースと言うようにもなったもの少しにた感覚から来てます。多分扱う範囲が広がっているんだと思います。

オープンソース
タイトルを OSS からオープンソースに変更したのは、Software じゃないこともオープンソースでやることが増えているというのもあります。
-- 今年のオープンソース活動振り返り @ 2020 | Web Scratch

オープンソースプロジェクトの分類

Node.jsを例にして、オープンソースの成熟への段階として次の3つがあるという話がありました。

  1. CREATION
  2. EVANGELISM
  3. GROWTH

Growthまでくるとアクティブユーザーが多くなり、プロジェクトはユーザー支援に時間がかかるようになるという話。

また、ユーザーの増え方とコントリビューターの増え方によって、オープンソースプロジェクトを次の4つのモデル分類できるという話もありました。

High User Growth Low User Growth
High Contributor Growth Federations(e.g. Rust) Clubs(e.g. Astropy)
Low Contributor Growth Stadiums(e.g. Babel) Toys(e.g. ssh-cat)

これがだいぶ面白い感じで、それぞれのモデルで次のような特徴がある。

  • Federations: ユーザーも多く、コントリビューターも多い
    • RustやNode.jsなどの言語に近いレイヤーに多いモデル
    • n:nの構造になってる
  • Stadiums: ユーザーは多いが、コントリビューターは少ない
    • webpack、Babel、Bundler、RSpecなどユーザーは多いが、開発者は少ないモデル
    • 1:nの構造になってる
    • ユーザーからコントリビューターになるときのコストが高い(そもそものユーザーが多い)ため、コントリビューターが増えにくいという問題があります
    • また、知識を外部化せずに長く続けるほど、新規参入が難しくなります
  • Clubs: ユーザーとコントリビューターが重複してる
    • ニッチな分野のツールに多く、ユーザーがコントリビューターであるケース
    • ユーザーの増加率が高くないが、コントリビューターが多い(相対的に)
  • Toys: おもちゃ的なもの

この4つのモデル間での行き来はできるので、ClubsだったものがStadiumsになったりもする。

コンセンサス

コンセンサスという言葉はオープンソースプロジェクトでよく見るようになったけど、これが機能するにはコントリビューターがある程度いないと機能していないという指摘が良かった。
具体的な例としてはLernaのICEライセンス問題で、スタジアムモデルだと「コンセンサス」はあってないようなものであるという話

コンセンサスを求める モデルは、連合であろうとクラブであろうと、より大きな貢献者コミュニティを持つプロジェクトで機能します。これらのコミュニティでは、メンバーシップの強い感覚を育むことが依然として可能であり、それは社会的規範、規則、および新規参入者が黙認することが期待される制裁につながります.
しかし、スタジアムなどの集中型コミュニティには、分散型 コミュニティ のようにアクティブな「メンバー」がいません。積極的に関与する人が少ないことを考えると、スタジアムはコンセンサスを求めるものよりも「慈悲深い**者」の統治モデルに適しています。

これは確かに、少人数だとコンセンサスはコンセンサスでもないなーとは思った。

メンテナンスとコスト

オープンソース開発者の仕事は、作成の初期費用を超えています。開発者はものを作り、作ったものを共有せずにはいられないかもしれませんが、そうするたび に、そして成功を見つけるたび に、小さな目に見えない時計が 動き始め、彼らはケアと給餌を管理する任務を負っています。永久に。

ソフトウェアの配布はzero marginal cost なので、いくら利用者が増えてもほとんど無料で配布できるという特徴がある。
そのため配布したら、そこからは初期費用よりずっと上がり続ける特徴を持っているという話。

大規模なオープンソースプロジェクトが 成長するにつれてモジュール化される傾向があるのは、メンテナンスのコストと、メンテナンスに対する本質的な動機の欠如が相まって

この対応として、オープンソースプロジェクトはモジュール化される傾向がある。
RailsとMerbの統合やBabelのプラグインなどはこれにあたるとおもう。

あるプロジェクトをやっていると評判という形で外因性の報酬を受け取ることがあるが、プロジェクトが成熟すると評判のメリットが横ばいになり、義務感やコミュニティの側面が強くなっていく。メンテナーはそこに新たな価値を発見/分散/タスクを減らす必要がある。困難な場合、辞任か代わりを見つける

成長段階ではプロジェクトのメンテナーとしての名声はあるが、成熟してくるとそこが一定になっていく。
一方でユーザーは増え続けるため、コストは上がっていくという構造の問題についての話。

また、メンテナーが利用可能なattentionは有限なので、それをどうやって管理するかというパターンの話も良かった。

  • 初期費用を減らす: CI/Bot/Lint/Check List
  • 利用可能なattentionを制限する: Issueを閉じる
  • コストの分配: モデレーション、ユーザーサポートを任せる
  • 利用可能なattentionの総量を増やす: コントリビューターを増やす、収益を増やす

オープンソースにおけるお金の役割

この本を読もうと思った理由でもあり、この本が書かれた理由でもある。

cURLの話、Trivagoがwebpackのスポンサーしたら何故かそれを理由に求人への応募が増えた話など色々。

Homebrew の主任開発者で あるMike McQuaid が 「ステッカーマネー」 の問題と呼ぶものにつながります。つまり、開発者が熱心に消費するステッカーなど のマーケティングスワッグに支払うには十分なお金ですが、仕事を辞めて仕事を辞めるには十分なお金ではありません

この話が特に面白かった。

個々の開発者は、企業とは異なり、オープンソースコード に直接お金を払うのではなく、コード の背後にいる人々に資金を提供する可能性が高いようです。これは、プロジェクトの依存関係ではなく、メンテナーの評判によるものです。長期的には、1人のメンテナが プロジェクトから降りない場合 ( これは今日よくあることです )、継続的なメンテナンスを価値あるものにするために別の報酬が 必要です。コンテンツクリエーターの典型的な報酬は評判の向上であり、それを注目 (つまり視聴者)に変えることができます。クリエイターが 何かを作り続けたいので あれば、その関心をお金に変える方法を見つけます。スポンサーは、今日のオンラインクリエイター向けの新たな資金調達システムですが、「寄付」 の概念と混同されることがよくあります。スポンサーは利他主義によって動機付けられるのではなく、現在の評判に基づいて、クリエイターの将来の仕事をフォローすることに関心が あることによって動機付けられます。寄付というより、サブスクリプションのようなものです。個人が オープンソース開発者のスポンサーになる場合、理想的にはコードにお金を払うのではなく、コードを書いている人をより身近に感じることができます。

コードやライブラリといったオープンソースのプロジェクトに対してお金を払うというよりも、そのメンテナーに対して支払うという傾向があるという話。

先ほどもあったけど、プロジェクトのユーザーが多くなると、評判は一定になるけど、プロジェクトメンテナンスのコストは上がっていく。
なので、そのプロジェクトのメンテナーが新しい評判を作るのが難しくなって、止まってしまうという問題が指摘されていた。
このサブスクリプション的にその人を支援する形式だと、支援された人が新しいものを作るインセンティブ(より評判を集めるため)になるので、より創造的なものを継続的に作る仕組みになって良いのではないかという話。

これは、最初のアマチュア化とも関係しているなーと読んでて思った。
特定のプロジェクトではなく、特定の人のファンが増えているという現象とも繋がっている感じがした。

📝 NAISTのGitHub Sponsorsの利用を調査したレポートによると、GitHub Sponsors利用者のうち約80%の人は1か2人をスポンサーしている

プロジェクトベースじゃなくて人ベースであるのは、プロジェクトに縛られないという点で、メンテナーにとってはいい点も多いとは思う。
プロジェクトベースだとメンテナンスが強くなりがちだけど、人ベースなら新しいものを作ってみるとかもやりやすくなる。

自分もプロジェクトに縛られすぎないようなことは考えてGitHub Sponsorsやってるのでこの辺の話はだいぶ面白かった。

一方で、誰でもこの状態になるのは難しいよねって話もあった。
また、あまりにもオープンソースプロジェクトは多すぎて、だれを支援すればいいのかわからないという問題もある。

資金提供者が オープンソースに資金を配分するという考えを受け入れたとしても、すぐにその機会に圧倒されてしまう可能性が あります。1回の依存関係チェックで、何百ものオープンソースプロジェクトを取り込むことができます。機関投資家であろうと個人投資家であろうと、資金提供者はどこに努力を集中すべきかをどのように知っているのでしょうか?

これが読もうと思ったきっかけのcore-jsの話とも似ていて、特にJavaScriptは依存関係が膨大で誰を支援するべきかわからなくなるような問題がある。
自分が依存してるライブラリのメンテナーのSponsorできる選択肢をhttps://github.com/sponsors/exploreで見れるが、膨大な数が出てくる。
なので、実際にスポンサーできる選択肢が多すぎると、どれをサポートすればいいのかわからなくなってしまうという問題は実際にあると思う。

この問題に対しては、「ハイコンテキスト、ローディスカウントレート」を取るのがいいのではという話だった。

オープンソースの資金調達の機会を精査することになると、「ハイコンテキスト、ローディスカウントレート」の機会を求めるという Ostrom の原則がうまく機能します。使用するすべてのオープンソースプロジェクトに資金を提供するのは、企業や個人の仕事ではありません。(…省略…)1 人の開発者が 毎日何千ものオープンソースプロジェクトに依存して仕事をしているのに、それぞれの給与を個人的に賄っていないことは問題ありません(気が遠くなるようなことですが)。しかし、彼らが たまたま気に入った特定のプロジェクトがあれば、それを追求すべきです。同様に、オープンソース開発者の仕事は、大海を沸騰させるのではなく、対象となる一連の資金提供者の頭に浮かぶようにすることです。

一つ例として出していたのは、無料で公開してる本のアクセスを調べてみたら、特定のサイトからのアクセスが多かったので、そのサイトの読者に向けて本を売るという話だった。

Practical Typography という人気の本を書いた Matthew Butterick も、一部の読者をターゲットにすることで 成功を収めました。マシューは自分の本をオンラインで 無料で 提供していますが、お金を求めて「絶え間なく物乞いをする」ことで 本を塗りつぶしたくはありませんでした。365 彼の無料トラフィックの多くが わずか 15 から 20 の Web サイトからのものであることに気づいた後、彼はそれらの Web サイトからの訪問者のみをターゲットにすることに決め、彼らが 本にお金を払うことを提案しました。その結果、その年に直接支払いの数が 2 倍になり、年間60 万人以上の読者に無料で 本を提供し続けることが できました 。

core-jsやferossがかつてやっていたターミナルに広告を出すという手法は「ハイコンテキスト、ローディスカウントレート」ではなかったのが、うまくいかなかった理由なのかもと思った(ハイタッチな人を選んで出す仕組みになっていれば、フラストレーションはもっと低くしつつうまくできたのかもしれない)。

または、core-jsのような依存の依存のようなライブラリだと、そもそも使ってることを意識しないのでハイコンテキストとするのが難しいのかしれないと思った。


長々描いてしまったので色々飛んだけど、詳細はStripe Press — Working in Publicを読みましょう。
大きく分けて、いわゆるプロジェクトのメンテナー的な深く専門的な方向(プロジェクトとして支援される) と もっとカジュアルで新しいものを創造する方向(人として支援される)の2つがあるよねって感じ。
これをダンベルというのが面白かった。(凹 みたいな形になるからだと思うけど。)
(これと同じような話は、ジャーナリズムなどのニュース業界でも起きていたりするという話も面白かった。)

どちらの場合でも、普通の仕事と同じ金額を稼いでも同じではないという問題はある。
普通の仕事とは違って、保険がなかったり、税金的な部分が異なるので、同じ金額を得ても同じ負担にはならないという問題。

そのため、フルタイムのオープンソースメンテナーになるには、色々ハードルがある。
けど、最近Open Source Collectiveが、プロジェクトの資金を使ってメンテナーを雇用できる仕組みを実装したので、この辺の雇用的なハードルも変わってくるかもしれない。

TEST TITLE

secrets.GITHUB_TOKENで動くかの テストです。

どこでもオフィスの時代 人生の質が劇的に上がるワーケーション超入門

どこでもオフィスの時代 人生の質が劇的に上がるワーケーション超入門 (日本経済新聞出版) | 一般社団法人 みつめる旅, 山口周 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon

ワーケーションってなんなのかよくわからずにワーケーションし手たので、読んだ。

最近は、出社するかしないか、オンライン/オフラインとか自分自身で選択できるようになって、多くの人の自分で決める選択肢が増えたという話が面白かった。この自分で決めるの延長にワーケーションもあるという話だった。

「wantの発見」→「能動性の再起動」→「結果の引き受け」。この一連の流れが、「自分で決める」には埋め込まれているからこそ、

場所を選ぶことについて

よく考えてみると、どれも「過去の自分」が選択したものに基づいて「次の出会い」が決められています。 つまり、大げさな言い方に聞こえるかもしれませんが、「今の自分」がこれからやろうとすることがいちいち「過去の自分」の選択によって左右され、「未来の自分」が形づくられていくわけです。

レコメンドは基本過去の行動が元にされてるから、あんまり偶発性ないねって話。
この偶発性を求めて、完全に何も決めずにその場所に行くのはちょっと機会損失な部分もあるので、半分ぐらい調べて余白を持たせるのがちょうどいいよって話だった。

1週間以上の長期の場合だと、実際にそんな感じでワーケーションやってることが多かった。
通常の旅行みたいにスケジュールをキッチリやると結構疲れる。1日1つぐらいの目的を決めて行動するぐらいのイメージでやると余白があって、いいかなーって感じ。

ワーケーションにおいて、なぜそれほど「偶発性」が大切なのかについて、もう少し踏み込んで説明したいと思います。ひと言で言えば、その理由は、 旅の中にふんだんに「偶発性」を盛り込むことで、予期せぬ豊かな刺激と出会い、それにより人生の幅が押し広げられていく からです。つまり自分の中に染み込んだ「フォーマット」を脱ぎ捨て、「未来の自分」を生きていくための素地が作られていくのです。  では、具体的にどうやってワーケーションに「偶発性」を取り入れていけばいいのでしょうか。  例えば、スケジュールの組み方。車で1時間ほどの場所に行くのか、飛行機を乗り継いで何時間もかかるような場所まで足を延ばすのかによっても変わってきますが、1泊2日の弾丸スケジュールを組んだり、出発前からぎっしり旅程を詰めたりするのではなく、少なくとも3泊以上、できれば1~2週間ほど時間をたっぷり確保して、 旅先に着いてからある程度「出たとこ勝負」で過ごし方を決められるような「余白」を残しておく ことをおすすめ

この本だと偶発性は結構大事にしてる感じだった。
似たような時間のバランスでやっていたけど、想像よりは偶発的は起きにくいかもと思った。
これは調べる時に思っていたよりインターネットに寄ってしまう、偶発性が起きにくいかもと思った。
(現地の案内はいかにも観光が多かったり、出歩いてやるにも結局マップを見てしまったりする。)

自分の旅行とかは結構Googleマップペースで行く場所に 📍 を打っていって探すみたいなことをやってるので、もうちょっとランダムで新鮮な情報を取得する方法があるといいなー

ワーケーションにおける「WORK」には、大きく分けて次の3つがあります。 ①普段やっている仕事を同じようにする ②普段できない仕事をする ③次の仕事のネタを探す
...
もっと言えば、 ①の比重は必要最低限に抑えて、②と③に時間を割くことを意識した方が、「わざわざ出かけていった意味」を実感できるいいワーケーションになります。

これは実際そんな感じでやってた気がする。
何かやること(考えること)を事前にNotionとかで決めておいて、それをやってたりとかしてた。
あとは、歩きながら考えるみたいなことが多い。
大体寝る前に、翌日やりたい候補を決めておいて、当日の天気でやるかを決めるみたいなパターンが多かった。

①普段やっている仕事を同じようにする は罪悪感とかもったいない感が出てしまうので、避けた方がいいというのは確かにそんな感じがする。何かを修正するみたいなやつよりも何かを新しく作るみたいなものを選んだ方が楽しい感じになる。
Meetingとかは普段の仕事の中でも比較的にやってても楽しい感じになることが多かったかもしれない。

長期宿泊のホテルとかだと正午前後は掃除とかで部屋やラウンジが使えないことがあるので、朝出かけて観光してお昼ぐらいに帰ってきて、昼から夜は作業するみたいなルーチンが結構やっていてよかったなーって気がする。(夜出かけるタイプではなかったので)


書籍の後半は、会社の制度でやってる例とかそういう話だった。

The Missing README

The Missing README

新人ソフトウェアエンジニア向け書籍。
コード、設計、テスト、リファクタリング。 例外処理やログ、依存管理、コードレビュー、CI/CD、インシデント対応。 コミュニケーションやプロジェクト管理など幅広いことがすっきりとまとまってる。 章ごとにDo/Do Notや参考書籍がまとまっている。

もう少し詳しめのレビューを書いた。

高次脳機能障害 どのように対応するか

高次脳機能障害 どのように対応するか PHP新書 | 橋本 圭司 | 医学・薬学 | Kindleストア | Amazon

行動変容法というアプローチの話が良かった。

基本的な対応として、まずは好ましくない行動に標的を定め、その行動を引き起こす要因、あるいは脱抑制の症状を激しくさせる要因を探します。それがわかったら、要因を減らす対策をたてる。そして、実行するというプロセスです。たとえば、ある男性が作業所で作業をしていると、いつも怒り出し、ほかの利用者に暴力をふるっているとする。まず、なぜ怒り出すのか、その要因を探す。観察したところ、いつも殴られているのは、どうも同じ利用者のAさんのようである。また、いつも再生紙のハガキをつくっているときに怒り出すことがわかった。この場合、脱抑制を増強する要因はAさんで、二人はハガキづくりの時間に隣同士で座っていることに気がついた。対応は簡単で、二人の席を離す、二人のあいだについたてを置く、二人の利用日を変える、などになります。
このように、問題行動に照準を合わせ、それを軽減していく手法を「行動変容法」といいます。

問題行動のおきるプロセスを見つけて、それを軽減していく行動変容法は、薬に頼らないアプローチとして使われている。

面白かった箇所:

  • リハビリによって低下した能力を戻すではなく、新しい自分を見つけることに
    • 戻すことを目標にするのは、歪みを生む
  • 易疲労性(覚醒の低下/いひろうせい)脳を損傷して間もない時期、患者さんはたくさん眠ったり、起きていても眠かったり、すぐに疲れてしまったりと、全体的にボーっとした状態になります。これらの症状は、急性期を過ぎても続いているケースが多く、何もしていなくても疲れてしまうことがあります。これらの症状を「易疲労性」、あるいは「覚醒の低下」と呼びます。
    • → 対処として天気の悪い日だからこそ動く癖をつけるなど

高次脳機能障害についてかなり読みやすく書かれて良い書籍だった。
リハビリへのアプローチ、遂行機能の話、行動変容法、易疲労性への対処法とかの具体例も多くて、この辺は障害関係なく普遍的に役立つ話だった

もともとMemory Noteを作っていて、脳の記憶に興味持ったので読んでいた。

モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方

モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方 | チップ・コンリー, 大熊 希美, 関 美和, 外村 仁 | 実践経営・リーダーシップ | Kindleストア | Amazon

メンターン: メンター + インターン

メンターンという話が面白かった。
著者はタイトルにあるように年長者であるけど、Airbnbに入ったときにIT詳しくなかったのでまるでインターン的に新しく知識を知る必要がある色々あった。
一方でメンターとしてアドバイスを求められたりとかするって言う状態。
この状態を合わせてメンター + インターンのことをメンターンと読んでいた。

なんかこの文が色々面白い https://t.co/sGJUIQbASD pic.twitter.com/jGrdtglAOS

— azu (@azu_re) February 21, 2022

この状態は年長者から見れば若者にはITとかを教えてもらいつつ、一方で年長者は思考とかについてのアドバイスするって言う交換的にできる。お互いに何かを学ぶことができて、知恵の交換ができるし、互いにとっていいのではという話。
なので世代が下から上に教えることはあるし、上から下へ教えることもある。(そこに変に抵抗持つのは微妙じゃない?って話)

別のところで、若い人は家のIT管理者になってることが多くて、こういうITについて教えてるのに慣れてるだろうって話が面白い

これめちゃくちゃ面白い。
お家IT的なやつって世界共通なんだ pic.twitter.com/c84C7XhJRM

— azu (@azu_re) February 23, 2022

知恵と経験: モダンエルダー

だが「年寄り」と「年の功」は、そろそろ分けて考えたほうがいい。「年寄り」はこの地上に長く存在しているというだけだ。「年の功」は、そうして生きた年月のあいだに成し遂げた蓄積だ。長い経験から知恵を引き出すことなく、ただ生きている人は多い。だが年功者は自分が学んだことを深く考え、それを知恵に組み入れて若い世代に提供する。年寄りは老けていて社会に頼っていることも多く、若者とは切り離されている。だがそれとは逆に、社会はこれまで「年の功」に頼ってきたし、年功者は若者の役に立ってきた。しかも今では介護施設に移る人の平均年齢は81歳(1950年には65歳だった)にもなり、「年寄り」ではないけれど「年の功」がある人はものすごい数にのぼる。

「年寄り」とかはある種軽蔑な意味合いを持つようになったけど、QueerとかRedneckみたいに昔は否定的な意味合いで使われてたけど今肯定的な意味合いで使われるようになった単語もある。
そういう意味でエルダー(elder)という言葉も肯定的(「年寄り」ではなく「年の功」的)な意味合いを取り戻す必要があるという話があった。
これが書籍のタイトルの由来。

今、インターネットがあって、いろんなところから知識を得るのは結構簡単になってきたけど、知恵を得るにはある程度経験とか年齢が関わってくることが多い。
書籍だとナレッジワーカーじゃなくてウィズダムワーカーという話があったのもこの辺が関わってきそう。

年齢差別を打ち砕く方法

年長社員に対するよくある誤解をひたすら回答していく、この章が個人的には一番面白かった。

  1. パフォーマンスとエンゲージメントが低い
  2. 変化に対応できない
  3. 学習能力が低い
  4. 在職期間が短い
  5. コストがかかる
    • 給料はあなたの価値なのか #19 で基本的に給料は下がることに抵抗感を持つ人は多いという話しもあわせてみると面白いかも。
  6. 信頼関係が築けない
  7. 健康面に不安がある
    • 年長者の方が分かれて社員よりも欠勤率が低いという話し面白い
    • あとアメリカ?だと医療費は、健康保険の対象である扶養家族の人数がファクターのほとんどなので、子供が成人してる年長者は逆に健康保険のコスト低くなることもあるってがなんか面白い
  8. ワークライフバランスが取りづらい

の項目で、それぞれ間違いだったり、思い込みだったりということを指摘していってる。

多様性の科学でもそういう話があったけど、年齢も多様性があった方がパフォーマンスが出るというアトラシアンの話が出ていた。

この誤解は差別にもつながることはあって、 次の話が結構興味深かった。

中年期やそれ以降の人生についてあまり想像がつかないからかもしれない。多様性というなら、ジェンダーや人種の多様性について語るほうがかっこいいし、まずそっちを正したほうが政治的にも適切なように思えるからかもしれない。だって、そうだろう?年長者にはその昔活躍するチャンスがあったけれど、女性や有色人種にはなかったのだから。年齢差別は比較的新しい現象だし、まずはジェンダーと人種の構造的な偏りを解消するほうが先じゃないかと。これはゼロサム的な考え方だ。無意識の偏見はどのような形であれ放置すれば、がんのように増殖し、広がっていく。「自分と同じような人と働き、自分と同じような人を顧客にしたい」といった狭い視野でいれば、「この候補者はカルチャーフィットするか」という純粋な問いが瞬く間に、構造的な差別や排他を招くことになる。自分ひとりの会社で従業員がいないのならそれでもいいかもしれないが、そうでないのなら、あなたとあなたの会社はより広い包括的な視点を持つ必要がある。

「年寄り」の話でも出ていたけど、誰でも年をとって「年寄り」になるは避けられないこと。
なので、この差別に無頓着だとあんまりよくないだろうなーって感じはした。

これ書きながら、GPS捜査の裁判について書かれた刑事弁護人という本でプライバシーについて面白い話があったのを思い出した。(この書籍自体も結構読みやすいし、プライバシーの考え方的に色々面白かった)

「やましいことがなければ、監視されても困ることはないはずだ」よくある反論だ。だが、これは、プライバシーの意味をはき違えている。プライバシーは、やましいことを隠すためにあるのではない。プライバシーが「誰にも干渉されることなく、自分のアイデンティティを形成するプロセスを守るもの」であるからこそ、人が個人として生きていくうえで不可欠な、重要な権利だと言える。

また「刑事弁護人」がなぜ犯罪者の弁護をするのかという話で次のような話があった。

被害者や遺族の側からすれば、そのように思われるのは無理のないことだし、理解できる。ただ、「刑事弁護人」という仕事の本質が、あまりにも社会から理解されていないようにも感じている。彼女の考え方にもっとも近いのは次の言葉だ。
罪を犯したと疑われている人の権利を守ることは、自分を守ることでもある。
自分が弁護をしている被疑者・被告人は、もしかしたら自分だったかもしれないという感覚がある。犯罪をしたと疑われて自分が逮捕され、起訴され、裁判にかけられたとする。その過程で、自分の行為が必要以上に捻じ曲げられるかもしれない。実態よりも過度に悪質だと判断されるかもしれない。いくら「真実」を語っても、聞く耳を持ってもらえないかもしれない。さまざまな方法で自白を迫られ、ありもしない「事実」を言わされるかもしれない。
...
この圧倒的な力の差を無視して、公平・公正な裁判などできない。そこで、憲法は被疑者・被告人に適正な手続きを受ける権利(第31条)、弁護人を依頼する権利(第37条)、黙秘権(第38条)を保障することで、両者を対等な当事者と位置づけようとする。対等な当事者として公平・公正な裁判が行われなければ、被告人に刑罰を科す判決の正当性が担保されないからだ。こうした手続きのなかで、刑事弁護人は被疑者・被告人に与えられた正当な権利に基づいて依頼される。被疑者・被告人に与えられた権利を最大限行使し、強大な国家権力である捜査機関と対峙する役割を担う。国家権力が適切に行使されているのかをチェックする
──それが刑事弁護人の重要な役割なのだ。

いつ自分が起訴されたり、裁判にかけられたりするというようなことが自身に起きるかはわからないので、
そういう問題が起きた時に公正な扱いがされるようにチェックするのも刑事弁護人の役割という話。
なので、他人事(犯罪者だけの問題)として捉えるべきではないという話しだった。

時間は大体の人にとって平等で、いつかは誰もが年をとるので、年齢による差別を他人事として捉えるのはよくないことなんだなーと思った。
ガラスの天井みたいな見えない年齢フィルター見たいな求人は実際にあるとは思うので、この年齢の差別の問題はもうちょっと深掘りすると面白そうだなと思った。

40歳からの「転職格差」 と 50歳SEの生き方 を読んだ · azu/book-reviewとかだと、5歳ごとに求人数が半減していくと書かれていた。
モダンエルダーの書籍だと、日本の例もあって多分FROM40の話な気がした。

その他

最後の章がポエトリーだけど、参考文献を文章として紹介してて面白かった(人柄が出てる感じがする)
あと解説者が、それはちょっと違うんじゃない?って話を書いてたのもよかった。

中盤の作者以外の話が退屈だったけど、最初の方と最後の方(年齢差別あたり)とかは面白かった。
(Wisdom at Workの方がコンパクトだったのかも)
最初に、末尾の解説を読んだ方がわかりやすい書籍だったのかもしれない。

この書籍はモダンエルダーになる人むけに書かれていた感じはするけど、それ以外の人が読んでも面白い部分はあったと思う。

50歳SEの生き方

50歳SEの生き方 | 松山貴之, 牛島美笛 | 実践経営・リーダーシップ | Kindleストア | Amazon

こっちも久松剛さんのブログでよく推薦図書としてでてきてたので読んでた。

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 #14 と一緒に合わせて読んでいた。

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 #14 がちょっと暗めの話に対して、50歳SEの生き方は明るめな話が中心だった。

本書に載せる際に重視したことは、働いている本人が「幸せ」に感じているかどうかである。実際、取材したほとんどの人は、今の仕事にやりがいを感じている。役職などではなく、仕事そのものにモチベーション高く取り組んでいるのだ。自分から「幸せです」とはなかなかおっしゃらないが、「幸せ」といえるものばかりであった

50代(2020年前後)の人は、バブル期に未経験で一斉採用された人が多いというのが特徴的らしい。

SEの高年齢化が進む  厚生労働省の統計調査によると、SEの年齢構造は2000年を境に大きく変わっている。1990年代は 20 代と 30 代のSEが 90%以上を占めていたが、2000年を境に 40 代SEが増え続けている。5年前(2013年)の統計調査によると、 20 代と 30 代で併せて 60%、 40 代以上が 40%を占めている。5年前の時点で 45 歳以上のSEは約 25%を占めており、今(2018年)はその世代が 50 代になっていることから、現在、 50 代SEはおそらく 20%程度を占めていると思われる -- 高齢化するソフトウェア技術者の労働市場に関する実証

結構割合多いんだなーと思った。

インタビュー中心の内容

内容は50代SEの人にインタビューをして、その内容を中心にかかれている感じ

本書に載せる際に重視したことは、働いている本人が「幸せ」に感じているかどうかである。

というテーマ通り、読んでいて結構楽しかった。
「50歳SEの生き方」というタイトルなので、ちょっと暗そうな感じがしたけど、インタビュー中心でエッセイ的な感じなので軽く読めて面白い本だった。

特にAGC株式会社の三堀さんの話が良かった。

「ただし、会社員という就業形態を取っている以上、新しい技術を追求するばかりでは評価されない。「会社が欲しているのは技術ではなく、成果である」ということを前提に、「この技術を使えば会社にどのようなメリットを生み出すことができるか」を常に考えている。 「自分の中には、技術に対する興味の軸(『面白い』『あまり興味がない』)と、会社にとって役立つかどうか(『必要とされている』『必要とされていない』)という2軸があり、世の中の技術をこの座標上で考えています。理想は、『面白くて会社に必要とされる』技術です。あまり興味がなくても、会社が必要とするなら精いっぱい取り組みますが、できるだけ理想の仕事にするには、日頃から周囲に『こんな技術が面白い』『今、自分はこんなことができる』と話すことです。会社には、システム更新や新規事業の立ち上げなど、さまざまなタイミングがあり、そのタイミングが来てから技術を探していてはもう手遅れです。なので、普段からいろいろと調べておいて、ちょうどいいタイミングですぐできるように準備しておきます。そういう仕事はとても楽しいですね。自分の中では仕事は楽しいと思っていますが、大変なことが8割以上です。残りの2割くらいは楽しい要素を入れたいと思ってやってきました」

この辺の、欲しくなった段階で探すのはちょっと遅くて、日頃から触っておいて欲しいタイミングで使えるようにしてみるという話がよかった。

この本のインタビューで出てくる人は、部長とかそういう感じの役職の人が多かったので、
40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 #14 だと35歳定年説の反例として扱われていた人が多いかも。
(でも、自分はジェネラリストと言う人が多かったかも)

あと、タイトルどおり"50 代に入って痛感する「体力」「気力」の減退"とか、更年期障害の話、定年、雇用延長と再雇用の違いとか、タイトルっぽい年齢向けの話が書かれて面白かった。(コラムで差し込んだりするのが面白い)

その他

ロールモデル不在で不安が募る 50 代SEたち  今ITの現場では、大量のシニア社員が余っているにもかかわらず、人手が不足しているというアンバランスが生じている。そういう状況にありながら「自分のやりたい仕事ができない」と嘆くベテランSEの声を多く聞くが、自分が何をやりたいのかを認識しているベテランSEは少なく、どこを目指していいかわからずに苦しんでいる状況にあるのだという。

このロールモデルがいないという話はどの年代でも聞くような気がするけど、逆にロールモデルがちゃんとイメージとしてある年代ってあるのかな?

WORK DESIGNでは女性のロールモデルの話があった。
実際にロールモデルとなる人を頻繁に見ることで、見た人への影響があったという話。
このロールモデルの介入効果は、実際にそのロールモデルにふれる機会がないと効果が出にくいと考えられている。
なので、役員会とか普段あんまり見えない人だと、実在はしてても介入効果が起きにくいのかもという話があった。

この辺のロールモデルの話は一般社団法人Waffleさんに寄付するときに調べてphilan.netのコメントに書いてた。


﨑山さんの話で、自分を変える能力はどんどん低下するので、周りの環境を変えましょう?という話がなんか面白かった。

『自分を変えようとしなくていい。自分を変える能力はどんどん落ちていますから、自分を受け入れてくれる人や自分にないものを持っている人を周りに置いてください』と言うのです。さらに『若い人に任せましょう』『苦手なことからは逃げましょう』と繰り返し話します。そういう環境を自ら作り出すことができれば、シニアになっても自分のやりたいことだけやることができます」

この書籍は、柔軟性(そう解釈した。この柔軟性の取り方が色々あると解釈)が大事だよって言ってる人が多かったかもしれない。
40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 #14 では、こだわりを持ちすぎて転職に失敗するケースの話とかもあったので、そういうところも一緒に読むと面白いかもと思った。

#14 ではポータブルスキルの話だったけど、こっちでも一つの専門性だけだと辛いという話が最後の方ででてきた。
ダブルメジャー(複数専攻)だったり、ダブルワーク(今まで技術が8割だったら、それを6割とかに落として他の割合を増やす)、改めて基本的なビジネスマナーを学んでみてはという話があった。
この辺の異業界、異業種の話へ展開していくのは、40歳と50歳どっちの本もちょっと似た話をしているかも。

伴走型支援: 新しい支援と社会のカタチ

伴走型支援: 新しい支援と社会のカタチを読んだ。

『生活困窮者自立支援のための中高年齢化するひきこもり者とその家族への支援ハンドブック』の"本人の「生きる」と, 支援者の「わたし」"という明石さんのコラムがすごくよかった。

このコラムは「ひきこもり」の話ではあるけど、他の状況でもよく起きる現象だと思う。
支援する人はソリューションを提供して、実際にその問題は解決する可能性はあるけど、支援された人は同じような問題に対処できないという状況をみる。
また、ソリューションだけ提供しても、実際に手を動かす人が別だと手を動かすところまで行かなくて、結局問題を解決できてないという状況もある。

たとえば、あるチームで開発するサービスでNode.js 12はEOL(End Of Life)でサポートが切れるので、Node.js 14へアップデートしないという問題があったとする。
この時に、Node.js 14にアップデートする解決方法を力を少し入れればできる人(「わたし」のような人)はできて、そこで問題は解決したように見える。
けど、Node.js 14のEOLが近づいてきた時に、次のバージョンへアップデートできてなかったという同じ問題がまた発生するという状況。

この時に「問題」を「解決」したい「わたし」は、その問題解決の方法や段取りなどの仕組みばかり見てしまって、
そもそもなんでそのチームでアップデートできなかったのかとかが置いて行きぼりになりやすい。

これは、問題を解決するというソリューション型のアプローチの成果が問題の解決となっているため、問題が複雑化するほどこのアプローチをとる「わたし = 支援者」に負荷が集中していく。
その結果、支援者のバーンアウトリスクが高くなりやすい。

一方の伴走型支援における「成果」は、つながり続けることでもあり、「問題は解決しなかったがつながっている」は成果でもという違いがある。

支援者はソリューション型と伴走型の両方の支援方法を組み合わせるのがいいんじゃないという話。
この話は書籍だと"第7章 日本における伴走型支援の展開(原田正樹)"が描かれてる図がわかりやすいやつ。
同じ話は、次の動画で話されてる。

image

このNode.jsのアップデートの例でいえば、支援者がNode.jsのアップデートの仕組みを作るというのはソリューション型のアプローチ、
一方で、支援者がNode.jsのアップデートについての相談にのるといった繋がりが伴走型のアプローチ。

どっちがいいという話ではないけど、両方とも目的としてはそれぞれのチームが自分たちでNode.jsのアップデートができるようになることというのは同じだと思う。

バーンアウト関係で、もう一つ面白い話としてあったのは"第6章 越境する伴走型支援(大原裕介)"であった伴走する人を伴走するという話。
ソリューション型の方が負荷が集中しやすいとは思ったけど、伴走型も負荷はあるわけだしずっとは続かない。
そのため、伴走する人を伴走するみたいなややメタっぽいのは現実的にいるんだろうなーとは思った。


"第10章 伴走型支援がつくる未来(村木厚子)"のここがよかった。

私は,**大学の須藤修先生から「ゼロを1にするのは現場の仕事、必要に気づいて最初に対応するサービスを生みだす。1を10にするのは学者の仕事。新しく生まれたサービスの理論武装をする。10を50にするのは企業の仕事。ニーズに応えて,ペイする範囲でサービスを供給する。50を100にするのは行政の仕事。もし,本当に必要なサービスならばペイしなくても,誰もが使えるよう制度化する」と教えられました

これは、寄付研究や慈善活動について研究するために色々な書籍や論文を読んだメモ書きとか誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課とかでも断片的に出てきた話ではあったけど、それを繋いだ感じがしてよかった。

この文だと0から100の一方向に見えるけど、実際には100の次にはまた新しい0があるので、100の隣には0があるイメージなのかなとは思った。


伴走型支援: 新しい支援と社会のカタチは物理本しかないので、久々に物理本で読んだけど面白かった。電子版が欲しい。

Open SourceでもContributorを増やすためのContributorを増やす(Contributor for Contributorと呼んでる)にはどうすればいいのだろう?と考えることが多いので、結構参考になる話が多くてよかった。(Open Sourceも0-100ならどの立ち位置なんだろなーとかも考えていた)

Maintainer MonthもContributorを増やすためのイベントだと解釈してMaintainer Month: オープンソースをメンテナンスするコツ | Web Scratchとかを書いていた。1Password for Open Source Projectsの申請をしたとかも、メンテナーを支援する何かがあるときに結局それが使われないと意味ないので、こういうのは積極的に使ってるというのもある。

インパクト投資 社会を良くする資本主義を目指して を読んだ

Cover Image

Amazon.co.jp: インパクト投資 社会を良くする資本主義を目指して (日本経済新聞出版) eBook : ロナルド・コーエン, 斎藤聖美: Kindleストアを読んだ。

インパクト投資入門は、そういう企業の紹介的な本だったけど、こちらの方は実践の仕方についての本だった。インパクト投資 = 計測という印象が強かったけど、まさにその話が多くて、パフォーマンス計測とかそういう話が好きな人は読むと面白いと思う。

なぜ測定するか

なぜ測定するのかという話が良かった。
次の3つの目的に大体集約されるという話。

  • ●学びのための測定(Measure for Learning)
    • 結果を知るため
    • 経験のみに頼らないため
  • ●行動のための測定(Measure for Action)
    • 結果の性質がわかったら、それを改善する行動が取れる
    • 意見を一致させるために
  • ●説明責任のための測定(Measure for Accountability)
    • 外部に対して説明
    • 参加を継続してやるために

また測定対象は

❶測定は実行可能であるべきだ
❷測定は管理可能であるべきだ
❸測定は比較可能であるべきだ

というのもよかった。

これ自体は、パフォーマンス計測とか他の話でも結構利用できる概念。

何かを改善するときに、まずは計測から入るのがよくあることだけど(推測するな、計測せよ)、それを説明する感じになっててよかった。
ウェブサイトのパフォーマンス改善とかは、まさに測定対象をかなり意識するところからスタートしたりすることが多い。
遅いと感覚ではわかっていても、それが測定可能じゃない場合は改善が難しいという感覚がある。

測定とプロセス

社会的インパクト測定の実際的な狙いを説明する前に、測定のもっとも基本的かつ貴重な役割の1つを認識しておこう。すなわち、戦略や行動の指針となる共通のビジョンを作り出すという役割だ。測定プロセスは、インパクトについての考え方に問いを投げかけ、精査することでその役割を果たす。どの測定方法が測定内容をもっともうまく表せるかについて意見の一致を見るためには、まず、測定内容そのものをどのように理解するかについて合意しなければならない。有益な測定は、何が測定されているかという明確な理解を前提としている。組織が測定システムを構築しようとしたときに初めて、測定によって表される現実世界について関係者の考え方が異なることがわかったという例もあるのだ。
たとえば、女児に教育を受けさせる活動をしている組織の理事全員が、組織の第一目標は「エンパワーメント」であることに合意したとする。だがそのエンパワーメントをどのように測定するかについて意見を求めると、何をもってエンパワーメントとするかについて理事一人ひとりの考え方が大きく異なることが判明する。教育を修了する女児の数と言う理事もいれば、妊娠や結婚の年齢が上がることと言う理事もおり、また別の理事は家以外の場所で働くことを重視し、さらに別の理事は家庭内の意思決定への参加が最高の測定基準だと言うかもしれない。
 インパクト測定システムの構築プロセスは、こうした考え方や価値観の違いを浮き彫りにし、その違いを乗り越えて組織のインパクト目標に向けた共通のビジョンを作り出す機会を与えてくれる。実際、このプロセスが測定そのものよりも貴重な機会にさえなり得るのだ

ゴールを明確にする

セオリーオブチェンジの話はちょっと難しくてよくわからなかったけど、分析手法に出てきたロジックモデルの手法は参考になった

基本的なロジックモデルは5つの要素で構成される。
 ●インプット(投入)はプログラムに対するリソースと制約の両方を含む。リソースはプログラムが活動にあたって使うもので、人材や資金、物、文化などが含まれる。制約は組織の内外の制約であり、活動地域の法規制や資金不足もここに含まれる。プログラムはリソースを活用し、制約の範囲内で最大限のインパクトを生み出そうとする。
 ●アクティビティ(活動)はプログラムまたは取り組みを実施するために取る行為で、プロセスや事象、行動が含まれる。プログラムはリソースを使ってアクティビティを実施し、目標とする成果を達成しようとする。アクティビティは、プログラムのために計画された作業だ。
●アウトプット(結果)は組織の活動による直接の結果であり、成果物だ。アウトプットには受益者に提供される製品やサービス、投資対象やその他完了したプロジェクトへの継続的支援も含まれる。
●アウトカム(成果)は投資対象に直接およぶ効果で、インパクト目標を達成するために必要なものを指す。これは投資対象の行動、態度、能力、または特定の社会的・環境的変動要素に対してプログラムが直接的におよぼす影響だ。成果は1年から3年で達成される短期的成果と、4年から6年で達成できる長期的成果に分けられることもある。 ●インパクト(社会経済的変化/波及効果)は社会的組織の最終目標であり、社会問題に対する体系的かつ基本的な進歩だ。インパクトは、そもそも組織がなぜ存在するかというその理由の根幹を成す。

測定手法の分類

測定手法は、4つの基本的な区分に分けられる。専門家の判断、定性的調査、定量化、そして貨幣化だ
●専門家の判断──経験豊富な専門家によるプログラムについての議論や観察。
●定性的調査──社会的インパクトについての体系的かつ徹底的な調査で、現場視察や構造化インタビュー調査、フォーカスグループなどを含む。
●定量化──数値の形でのデータおよび報告。直接測定だけでなく、インタビューへの回答も含む。
●貨幣化──測定されたインパクトの一部またはすべてを貨幣価値に換算する定量的評価

社会的投資収益率(SROI)
社会的投資収益率(SROI:Social Return on Investment)はよく知られた貨幣化技術の1つで、この手法を最初に取り入れたのはアメリカのベンチャーフィランソロピー《ロバーツ・エンタープライズ開発ファンド》(REDF)だ。SROIの狙いは社会的投資が生み出せるリターンを評価するところにある。企業投資により期待される、あるいは実現する金銭的利益を評価するために用いられる投資収益率(ROI)と概念的には似たものだ。SROIの計算方法はいろいろあるが、一般的にはプロジェクトが生み出すインパクトを、投資された金額で割る方法で算出される。SROIが大きければ多いほど、1ドル当たりのインパクトは大きい。REDFのSROIフレームワークは、構築された当初には6つの主要な測定基準で構成されていた。企業価値、社会目的の価値、複合的価値、企業収益指数、社会目的指数、複合的収益指数(※8)。それぞれの価値が算出され、10年という期間について割り引かれる

インパクト投資とリターン

投資に対するリターンは、ざっくり4つのカテゴリーに分けられる。アイデンティティのリターン、プロセスのリターン、金銭的リターン、そして社会的インパクトだ。

  • インパクト投資は、一応金銭的なリターンを目的とすることもできるけど、そのリターンは普通の株式などに比べれば時間がかかるし金額も大きくはない傾向はある。
  • それでもなぜ投資するのか?という話

インパクト投資の旅路を進むなかでつい見過ごされがちだが実は重要な要素が、投資の動機を理解するということだ。これこそ、意図に合った成果を確実に得るための第一歩だ。自分は何者なのか? 何を一番大事に思っているのか? 何をもってすれば、自分の投資は成功したと言えるのか? そして何を投資するのか?

  • 金以外のリターンがあるからで、それが見える形 = 測定されたものじゃないと、投資側も何に投資していいのかわからないという話は結構納得した。
  • ロックフェラー回顧録でも、何に投資(寄付)するべきかというのは実際専門家がいて、普通の仕事以上の労力がかかってる感じだった
  • なので、測定にはコストはかかるけど、測定する価値はあるし、実際測定しようと思うと目的とかを結構整理する機会になって面白い。
  • Release Working in Public を読んだ - azu/book-review で書いてたけど、オープンソースもかなり近い文脈を持ってるので、色々と学びがあった

プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける

O'Reilly Japan - プロダクトマネジメント

ハードシングスへの突入と脱出|鈴木大貴 / HiCustomer|noteを読んでてて、そういえばビルドトラップの本読んでないことを思い出したので読んだ。
プロダクトマネージャー向けではあるけど、プロダクトを開発するときにプロダクトとして提供する以上誰にとっても共通の話が結構あって面白かった。

日本語はメインタイトルからは消えてるけど、原題はEscaping the Build Trapなので、ビルドトラップという言葉についての本(この著者が作った言葉)。

ビルドトラップとは
組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして、行き詰まっている状況
実際に生み出された価値ではなく、機能の開発とリリースに集中してしまっている状況

サンプルストーリーと共にビルドトラップにハマってしまわないようにプロダクトを作っていくにはどうするべきかみたいなお話。
例となっていた仮企業はUdemy見たいなオンライン講座を提供するProduct-Led Growth(PLG)なプロダクト。
視聴者は見たい講座がなくなって解約するためリテンションが低くて、その原因は講座の作成者が講座に時間がかかっていて、その原因は投稿用のUIだったり動画編集そのものが難しい見たいな実際にありそうな話だった。

論理的に正しいものを作っても実際にそれが使われないと意味がないし、ビルドトラップというのはただのアウトプットにフォーカスしてしまって、実際に使われることにフォーカスしてない現象だと解釈した。
作っても使われないと意味がない(出典が思い出せないけどWebKitで見た気がする、W3CとWHATWGの仕様の話だったかも?)という言葉は結構好きなので、読んでて面白かった。

これ書きながら思い出したのはRethinkDBはなぜ失敗してMongoDBが勝ったのかという話。

何からやるべきかの優先度の付けの話で、価値 x 緊急性のマトリクスからなる遅延コストの評価を使いましょうとか。
これは、バグとかセキュリティIssueのトリアージ基準とかと使うメトリクスが異なるだけでやり方は同じだなーとか思った。

本筋とはちょっと違うけど、この本で一番良かったところは、内部プロダクトもアウトカムを目標にするべきですか?というコラムみたいなところ。

内部プロダクトでの実験
「こういったテクニックを内部向けツールにも使う必要がありますか?」という質問をよく耳にします。答えは間違いなくイエスです。
...
社内ユーザーの満足度が高くなって、以前は仕事をうまくこなすのが難しいと思われていたこのポジションの従業員の離職率が下がったのです。ユーザーは多くの仕事をこなせるようになり、信じられないペースで採用を続ける必要もなくなった結果、事業コストが下がりました。
内部ツールは軽視されることが多いですが、それでも企業にとって重要です。ほかのプロダクトと同じように扱わなければいけません。方向性を理解し、問題を明らかにして、その問題を詳しく知り、何が適切なソリューションかを学習しなければいけません。価値を実証する実験が終われば、最初のバージョンの作成と最適化に集中できるのです。

内部ツールも外部ツールと同じように体験を良くすることで、色々よくなるよという話。
使い勝手の悪い社内ツールは、特定の箇所に負荷が高くなってしまって、その負荷を人間が受ける形(ヘルプとか手動操作)になってると離職率にそのまま直結するのでその通りだなーと思った。
開発ツールとか社内ツールをまともじゃない状態で開発してても楽しくないし、色々クオリティが落ちやすい。
たとえば、開発環境が悪かったりCI/CDが遅いとリリース回数も減るし、トライアンドエラーが減ると品質が落ちる。
なので、いつも最初に直しに行くこと多くて、直感と一致してる感覚があった。

企業がプロダクト主導かどうかを判断する6つの質問

最後にあった質問が面白かった。

  • 最後に作った機能のアイデアを思いついたのは誰?
    • オーナーシップの問題があるか分かる
  • 最後に廃止したプロダクトは?
    • 権限があるか
    • アウトカムじゃなくてアウトプットを見ている可能性が高い
  • 最後に顧客と話したのはいつ?
    • フィードバックを取り入れてない
  • 目標は何ですか?
    • アウトプット or アウトカムのどっちを目指しているかを判断できる
  • 現在何に取り組んでいますか?
    • 問題解決に何をするかという文脈理解
  • プロダクトマネージャーはどんな人ですか?

廃止したプロダクトの話でWHATWGでは結構色々消してたなーとか思い出した。

測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?

測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?を読んだ。

iPadのKindleで画面読み上げで聞いてメモも音声で書いたので、聞いた話したが正しいかも。

 「もっとも正確に、もっとも簡単に測定できる開発プログラムがもっとも変革的ではないもので、もっとも変革的なプログラムはもっとも測定しにくいものだという開発理論の中心的な原則を無視する」
ジェリー・Z・ミュラー. 測りすぎなぜパフォーマンス評価は失敗するのか? (Japanese Edition) (pp.169-170). Kindle 版.

元は The Clash of the Counter-bureaucracy and Development | Center For Global Development らしい。

これ書籍中で一番印象に残った。(これ自体が引用の引用)

透明性について

この本の著者は透明性が高すぎると議論が難しくなるから、不透明の状態が必要だという話をしていた。
例えば、情報公開要求であらゆるものが要求されたり、国家間の繋がりも不透明の上に成り立っている的な部分があるよという話をしていた。
過程まで全て公開してしまうと、水面下での交渉とかが難しくなるので、交渉が成立した時だけ透明化した方がいいのではという感じの話。
(WikiLeaksとかのスノーデンの話も否定的だった)

給料はあなたの価値なのかでも公平性についてで少し関連した話があって、透明性が高くなれば短期的には不満をもつ人が出るといった問題はあるけど、結果的に格差の問題は起きにくくなるという話をしていた。
格差の問題というのは不透明な情勢から発生することがほとんどだから、逆に透明性が高いとその格差を是正(公平性)する議論が行えるようになる(慣性が働く)という話があったのを思い出した

どちらも、透明性と人間の感情の話ではあったなーと思った。

透明性が高いだけでは全ては上手くいくわけじゃないという話はみる気がする。

たとえば、Open Collectiveは透明性が高いけど、そこに溜まったお金を取り出すには収支報告(経費申請)が必要で、個人から見ると少しハードルか高く感じるという話を聞いたことがある。(これは透明性に対するコストの話と捉えることができる)
後は、SlackでPrivateなチャンネルは禁止してPublicチャンネルのみにしたときに、Publicなチャンネルで発言するのが怖いので発言しないという話とかも見る(これは透明性と心理的安全性みたいな話と捉えることができる)

内的動機と外的動機

この本は、自然科学や工学的なものに対しては測定することは重要で信頼性がある。
一方で、人間に関することを測定してもその測定結果の使われ方によって、人間がハックしてしまって意味ある測定にならない可能性があるよって話しだった。

人間が測定をハックするケースというのが色々紹介されていて、主に外的報酬(お金とか)が測定結果に関わってくると大体おかしくなるよって話しだった。(報酬と懲罰を測定に紐づけるとハックされるよという感じ)

一方で測定結果が人間の内的動機(好奇心、探求心、向上心など)を強化するのに役立つことはあるよという話をしていた。
また、測定したデータを評価するプロセスには現場のグループが参加した方が良いという話が面白かった。
測定のシステムが機能するのは、その測定される対象の人がその測定の価値を信じている場合に機能するということ(これも内的動機っぽい)。

透明性をもって意味ある測定するのは難しい

透明性だけを目的とすると人間はそれを回避する行動を取ったり、
外的報酬と測定を紐づけると人間はそれをハックする行動を取ったりと難しい。

機械的な作業に対するログ(行動)は透明性を高めにもっても良さそう。
一方でそのログ(行動)に人間が介在する場合は、微妙なことが起きるのかもという感じ。

Certificate Transparencyログとかの透明性の仕組みによって互いの説明コストを減らせたり、互いを評価して安全性を担保する仕組み(人間が介在するとこれをハックするという話でもあるけど…)とかみたいなバランスの良い仕組みがあるといいのかもしれないけど、このバランスが難しいなーと思った。(この辺についていい感じの書籍とか研究とかあってあるのかなー)

この書籍はThe Costs of Accountability - The American Interestという記事をベースにして書かれたとのことだった。
最後まで読んで(聞いて)、パフォーマンス評価とコストの話をしていたのは、説明責任に対するコストの記事がベースになってちょっとバランス悪かったなとおもった
(後書きにこれが書いてあってやっぱりそうなのかと思った。タイトルをそっちに寄せて欲しかった)

内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか

Amazon.co.jp: 内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか eBook : 奥山 俊宏: 本

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公益通報者保護法を抜本的に改正する新しい法律が2020年6月に制定され、2022年6月1日に施行されるのを機に、この法律を含む日本の内部告発者保護法制とその背景にある考え方、いわばその理念や**について、具体例に照らしつつ明らかにしていこうと意図してこの本をとりまとめた。

新しい公益通報者保護法のバックグランドについて詳しく解説してる書籍。
いろんな国の事例とか、過去の日本で起きた問題を汲み取っていて面白かった。

  • 内部告発の事例を紹介してから、実際の法案とケースの対応を見る感じだった
  • ケースが長いかなと思ったけど、法案との対応の話は面白かった
  • オリンパスは内部告発の問題を大量に含んでいてすごかった

今まで、通報者の特定を漏らしても結局罰則はなかったので、これを漏らしてしまう事例が過去にたくさんあった。
改正されたものだと、通報者を特定させる情報の守秘を義務づけられ、違反すると個人として刑事罰に処せられるという形になってる。とにかく過去の事例がすごくて、それを汲み取った法案なんだなーというのがわかって面白かった。

常時使用する労働者の数が300人を超える事業者は、本法第11条により、内部公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制(内部公益通報対応体制)の整備その他の必要な措置をとることが義務付けられました。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/faq/faq_001/

あと300人より多いの会社は、内部通報の体制を整備することが義務になってるの知らなかった。
(300人以下は努力義務)

情報セキュリティの敗北史

Cover Image

情報セキュリティの敗北史|白揚社 -Hakuyosha-

1950年ぐらいのセキュリティの歴史の話から始まって、1970年には「大規模なソフトウェアシステムにおいては、エラーや異常が完全にないことを検証するのは事実上不可能」という話があったのが面白い。

あと1970年にPROS(Provably Secure Operating System:証明可能な安全性を持つOS)という形式的証明みたいなことやってたのも面白い。

科学では反証可能性で担保するが、セキュリティではそうなってない。
あるシステムは安全ではないと言うことはできるが、あるシステムは安全であると言うことは難しい(バグがないシステムは存在しない)。セキュリティでは、完璧に安全というものはないため、セキュリティの専門家でも反証可能性がない。

つまり何か絶対の正しさを持ったものはないので、セキュリティを実現する絶対的なものはない。
そのためリスク評価といった間接的な指標を使って意思決定している。(リスクが低い = セキュリティが高いだろうと)
ここを理解するのには経済学の逆インセンティブ、心理学的なものが重要という話よかった。

セキュリティは特定の問題を扱っても解決はできないので、システム全体の問題として見る必要がある。
セキュリティの技術的な部分は確かに技術だけど、セキュリティ対策という全体感で見ると必ずしも技術が得意じゃない人の方がリスク評価からの対策が上手いとかは普通にありそうだなーと思った。

これは、いわゆるセキュリティ対策を何から始めたらいいかわからない問題とも繋がっていそう。
何か絶対のものがあるわけじゃないので、これ対策しておけば良いわけじゃなくて、やるべきことは無限に出てきてしまう。
(やり方もボトムアップ、トップダウンどちらもある)
これを全部並べるとコストがリスクを上回って、本でも出てきたように逆インセンティブの問題が発生して対策を諦めてしまう。

これの考え方としてリスクマネジメント的な優先度を、リスク評価から決定していくのが良くある方法。

この絶対的なものじゃなくて、相対的なもの/間接的なものとしてセキュリティを評価していく話は実際そうだなーと思って読んでて面白かった。(9章)

売上高の「0.5%以上」、人の「0.5%以上」をセキュリティの予算とするという話もこういった間接的な評価から決めているのだと思う。

よかった章

  • 6. ユーザブルセキュリティ、経済学、心理学
  • 9.情報セキュリティの厄介な本質

が特によかったなー
フルディスクロージャーからレスポンシブル・ディスクロージャへの変化とか

誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課

誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課

神奈川県座間市の生活援護課を舞台にした書籍。
めちゃくちゃ面白かった。

健康で文化的な最低限度の生活とかも似た話である。

社会的な問題と未知の問題は重なり合う

コミュニティ・オーガナイジングとかでも、社会問題は往々にして社会的にパワーのない人のところに集まると話があった。
これと同じように、市場的なニーズがまだはっきりしてない部分 かつ 政府がまだ扱ってない部分 には社会的な問題が多く存在している。
その問題領域には、何かはっきりとした解決方法(プロダクトや専門領域)があるわけでも、法律のような制度がないような未知の問題が集まる部分がある。

この本でも、まさにそういう間の領域にある社会的な問題が多く出てきなーという感じでそこが面白かった。

言葉を選ばずに言えば、武藤や吉野が関わる困窮者には〝面倒な人〟が少なくない。第1章の志村やペドロのように、自立の意思があり、その実現に向けて前に進める人はそれほど多いわけではない。中には、意思疎通に苦労するような相談者もいる。その中で、武藤が自立相談支援を続けているのは、困窮者支援がAでもBでもない「新しい領域」だから

とか

第2章で触れた大島も、相談者に心ない言葉を投げかけられて、月に一度は落ち込むという。それでも続けているのは、困窮者支援がゴールのない仕事だからだ。 「一般的な仕事であれば、経験を積めば積むほど知らないことはなくなっていきますが、この仕事では、相談が来るたびに新しい課題が次々に出てくる。

とか

はたらっく・ざまの岡田も、初めて会った時の林の一言を覚えている。 「制度を作り、仕様書の通りに運用しても、必ずこぼれる人が出てしまう。そういう人を救うために、制度を柔軟に運用しなければダメだと考えています」
あらゆる制度がそうだが、制度はその制度ができた瞬間に、条件に当てはまらない人が生まれてしまう。もちろん、制度は必要不可欠なものだ。生活保護の利用について、所得や資産で区切らなければ制度として機能しない。身体障がいや精神障がいの障がい等級がなければ、誰にどれだけの年金を支払えばいいのかもわからないだろう。制度の利用条件や範囲を決めなければ、行政サービスを提供することはできない。  ただ、現実を見れば、ある制度の利用条件に当てはまらなくても、その制度を必要としている人は存在する。法律や制度を作った時と、目の前の現実にずれが生じることもよくある話だ。

といった話が出てきて、実際にその領域で出てきた事例を見れたのがよかった。

image

コミュニティの力: 市場経済における非営利組織(NPO)の機能という論文では、この未知の領域を扱うのがコミュニティであり、NPOなどがここに当たるという話だった。

この書籍は、座間市役所の生活援護課が舞台の話であるけど、こういった問題を市が全て解決できるわけでもない。
なぜなら、衣食住だけじゃなくて仕事とか孤立とか死後とかかなり幅広い問題が重なり合ったのがものが問題として出てくるので、全ての問題を1つの団体で解決するのは相当難しい感じがする。
そのため、NPO法人ワンエイドとかはたらっく・ざまなどのNPO法人と連携して問題の解決に当たるという窓口の役割をちゃんとしていてすごくよかった。

自治体直営の場合、外部連携に慣れていない自治体が多いため、市役所以外の組織との連携が弱くなりがちだ。一方、すべてを外部の組織に委託してしまうと、生活保護との連携が取りにくくなるというデメリットがある。  座間市は外部連携を進めながら直営で制度を運用している 希有 な存在だが、それが可能なのは、林の仲間づくりが秀逸なのに加えて、市の大きさが5㎞四方で収まるほどにコンパクトで、原付バイクに乗れば、 15 分で市境に行けるという地形的なメリットも

この辺の連携がうまくできている点が、この書籍が書かれた理由なんだろなーと思った

生活困窮者自立支援法と生活保護法

生活困窮者自立支援法と生活保護法という2つの違いをあんまり知らなかった。

  • 生活保護: 収入が基準以下の人に生活保護費を出して、最低限度の生活の保障を支援
  • 生活困窮者自立支援法: 経済的な困窮状態の人に、住居確保給付金の支給、相談支援や就労支援によって自立を促進するための支援

生活保護は収入自体が一定以下じゃない受けられないなど色々な制限があって、実際に収入はあるけど生活に困ってるような人もいる。
なので、生活保護の前段のレイヤーとして生活困窮者自立支援法というのが2015年にできたという話らしい。

自立を促進するための法というのが結構面白い視点で、この本でもこの話が結構できてた。
リーマンショックあたりの影響で作られた法で、まだどう扱えばいいのかわかってない部分もある感じもしたけど、解釈次第で色々できるみたいな感じの使い方をしてるのかなーと思った。

関連する話として、自立が孤立につながるという話もあって、日本伴走型支援協会というところの動画がかなり分かりやすかった。
お金とか住居的な支援だけして自立させたつもりになるけど、コミュニティ的に孤立するので別の問題が起きたり根本の問題が解決しなかったり。

image

たとえば、座間市でも18%ぐらいが生活保護を受けている計算になるけど、高齢者が多い。
これは被保護者調査見ても高齢者の割合は多い。

前述したように、座間市の生活保護利用者は2021年 11 月時点の速報値で2353人と全人口の 17・88‰に上る。最近は単身高齢者が増えており、病院や介護施設との連携は以前にもまして重要になっている。

なので、単純に自立させただけだと、「その人の死は誰が看取るのか」問題が出てくる。なので、自立が孤立につながると根本の問題が解決しないという話だった。

書籍中でも、ケースワーカーの人が訪問して最後を看取る話とかもあったので、この辺が難しい問題なんだろなーと思った。

寄付の文脈でも、Charityだと根本的な問題は解決しないので、Philanthropyという言い方をしてるとかも同じような話なのかなーと思った。

チャリティ(Charity) = 問題を軽減する = 魚を与える
慈善活動(Philanthropy) = 問題を解決する = 魚の釣り方を教える

この書籍は4-5コぐらいの実際のケースを紹介しながら書かれてるんだけど、200-300ページなのですごい内容が詰まっている感じがしてよかった。

97 Things Every Information Security Professional Should Know

97 Things Every Information Security Professional Should Know

Information Security(情シスとかが近い話?)についての97本。
97のInfoSec版がでてたので読んだ。マインド的な話も多いけど、それぞれ1ページぐらいなのでさっと読める感じ。

以下は気になった章。

16. Four Things to Know About Cybersecurity

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch16.html

サイバーセキュリティ 4つのこと

  • hacker is not attacker
  • 脆弱性開示ポリシーは防御を強化する
  • 燃え尽き症候群が本当のリスク
  • スキルアップの機会が重要

19. Insiders Don’t Care for Controls | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch19.html

外部の攻撃者が防御システムを通過したあとは、内部(インサイダー)の脅威と何も変わらないため、インサイダー視点での組織の脅威モデルを実行する必要がある。

27. New World, New Rules, Same Principles | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch27.html

世界やルールが変わっても、原則は変わらない

28. Data Protection: Impact on Software Development | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch28.html

データには3つの状態があると考えて、それぞれを保護する話

  • Rest 保管
  • Transit 転送
  • Use 使用

https://github.com/slsa-framework/slsa でも似たような状態を考えると面白そうと思った

32. DevSecOps Is Evolving to Drive a Risk-Based Digital Transformation | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch32.html
Code Security Is Becoming Simply “Security”

34. Security Is People | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch34.html

これ本全体で一番よかったかも。
people are the weakest linkとよく聞くが、「人」「プロセス」「技術」では「人」がもっと重要であると考えることが大切。
組織は、セキュリティを実現するために存在しているのではなく、セキュリティは、組織を構成する人々によって実現される組織の目的を確保するために存在しているため。
セキュリティの解決策として強制的な制約や障害を人に持ち込むと、ただ反感を買う。なので焦点を当てるべきことは、セキュリティが個人にとって重要なのかを教えること。
受け入れられない人が出た場合は、その人が組織にあってないだけなのか、単にその対策に問題があるのかを再考する必要がある。その対策が人をどのように守るかが説明できないなら、それが必要なのかを考え直すべきである。

59. DevSecOps: Continuous Security Has Come to Stay | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch59.html
恐怖の文化 → 意識の文化 → 測定の文化 へ移行すること

70. Threat Modeling for SIEM Alerts | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch70.html

アラートの誤検知率が高くなってノイズとなる問題への対処

  • アラートを脅威モデル化
  • アラートの右側に何をターゲットとしているの名前を書く
  • 攻撃パスモデルでの可視化
  • アラートの対応へのプレイブック

87. Don’t Let the Cybersecurity Talent Shortage Leave Your Firm Vulnerable | 97 Things Every Information Security Professional Should Know

https://learning.oreilly.com/library/view/97-things-every/9781098101381/ch87.html
セキュリティエンジニアが足りないという問題。 これは教育機関では解決できない“経験“という問題があるため、既存のチームで満たす方法を考える必要がある。
ソフトウェア/ネットワークエンジニアをトレーニングする。
一番重要な教訓としてサイバーセキュリティエンジニアだけの人はいないということ。 優れたサイバーセキュリティエンジニアはソフトウェア開発やネットワークなどの経験がある。

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人

久松剛さんのブログでよく推薦図書としてでてきてたので読んでた。

この本は特にプログラマーとかSEとかに限った話じゃなくて、色んな職種がテーマになってる。

この書籍の特徴としては、一般的、平均的な40歳の転職について書かれてる感じ。
35歳定年説がなくなったとかの話は、その話の出どころに偏りがあるかもしれないので、冷静に見ましょうねってスタンスの話があった。

「35 歳限界説はもうなくなった」という論調は、事実であれば好ましいことなのですが、実数を見て冷静に判断する必要があると考えています。 35 歳限界説がなくなったという話は、多くの場合、エグゼクティブに強い人材紹介会社の方から発信されています。

とか

「企業は今、 40 代を求めている」「 40 代でも転職しやすくなった」といった印象を受けます。しかし、実際には 20 代、 30 代の若い人たちの需要が圧倒的多数なのは変わっておらず、「あまりにも採用が難しい職種だけは年齢基準を上げてみようか」というのが企業側のホンネであり、求人倍率が高まっている背景なのです。  この他にも、求人市場が活況になると、「これまで需要が低かった業種・職種」でも需要が改善します。そうした報道の裏で、「もともと需要が高かった業種・職種」はそれ以上に需要が急騰しており、平均した全体の数字を見ると、「これまで需要が低かった業種・職種」の実態以上に改善しているように見えるということも多々あります。

転職マーケットの市場規模

日本の転職、中途採用のマーケットは大体120万ぐらいという話が面白かった。
職業別就業者数が6500万人ぐらいなので、意外と小さいマーケットなのかなと思った。

2030年の労働市場と人材サービス産業の役割」05.人材ビジネスの市場規模・事業展望|Works University 人材ビジネス講義|リクルートワークス研究所を見た感じの年間就職者数だと次のような感じ。(どっちもデータの出典は同じだけど、年度が違うっぽい)

  • 求人広告: 200 ~ 300万人
  • 職業紹介: 50 ~ 80万人
  • 派遣: 170 ~ 190万人
  • 請負: 77万人?255万人? (なんか実体がちゃんとつかめないらしい)

これは、新規就職とかも入ってると思う。

image

統計局ホームページ/労働力調査(詳細集計) 2021年(令和3年)4~6月期平均結果の年齢階級別転職者数及び転職者比率(エクセル:21KB)によると年間の転職者数はだいたい 200万 ~ 400万人ぐらい。
これは転職者数なので、転職市場規模とは異なるだろうけど、転職、中途採用のマーケットの120万人という話はどこ出典なのかよくわからなかった。

転職マーケットは結構小さく感じる。
100万人前後だと、だいたい年間の出生数と同じぐらいの数値。

120万人の分類の話で、

人数で言うと、有料の求人広告で 30 万人、人材紹介(エージェントとか)で 10 万人、縁故で 25 万人、ハローワークで 25 万人、あとは自社のホームページ経由などで 10 万人ぐらい。これで合計100万人

縁故(リファラル)とホームページ経由って意外と多いんだなーとか思った。
最近だとYOUTRUSTとかMeetyとかよく見るようになったので、求人広告周りも変わってる感じがする。

Watntedlyとかの求人メディアとして曖昧な感じなところも、次の議論とかでどっちかに寄ってくる気がする。

反例

これは、なんかこの書籍はいろいろな反例として読むと面白いなと思った。

会社が成長しないために世代交代が進まず、「役職が上がらない」「給与が上がらない」といった不満がきっかけで転職を考え始める人は約 20%、5人に1人の割合です。   40 代転職者の転職後の年収を見ると、 10%以上上昇した人が 32・2%、 10%以上減少した人が 32・9%とほぼ同じです。ただ、 20 代、 30 代では、転職後に 10%以上年収が上がる人のほうが、 10%以上年収が下がる人よりも5~ 10%多いことを考えると、 40 代の転職では、年収が減少する可能性が高いと言える

  • こだわりを持ちすぎて転職に失敗するケースの話
    • 年収、役職、企業規模にこだわりすぎて失敗した事例
    • must条件とwant条件はちゃんと分けようみたいな話が面白かった
  • 2,3,2年みたいな転職を繰り返している人は、ネガティブな印象が持たれるかもという話
    • 例外として、金融、IT、コンサル系だと、そういう人も多いのでこの辺は許容されやすいという話

ブーメラン

 一般に、自分の故郷に帰る転職はUターン転職、ゆかりのない地方に行く転職をIターン転職と呼びます。また自分の故郷の方向ではあるが、途中の地方まで帰ることはJターン転職と言い

とか

 こうした人たちの多くは、介護していた親が亡くなると、故郷から東京などに戻り、再度転職をしています。介護のために故郷の企業に転職し、親が亡くなって戻ってきてまた転職する「介護ブーメラン転職」とでも呼ぶべき状況も生まれてきているのです。  

全然書籍の本筋とは関係ないけど、転職業界ってなんか回転する単語がやたらでてきて面白い

その他

最後の方は、
転職市場は、 35 歳、 40 歳、 45 歳、 50 歳、 55 歳と5歳刻みで求人数が半減していくので、
異業界、異職種への転職でも役立つポータルスキルも大事だよって話とかのアドバイス的な話だった。

現実の話の比重を置いている書籍だなと思った。

この本の反例にあたる50歳SEの生き方 #15 も一緒に読んで、比較しながら感想書いてみた。

デュアルキャリア・カップル

デュアルキャリア・カップル――仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える

デュアルキャリア・カップル読んだ。

共働きのカップルには3つの転換点が存在するという調査内容についての書籍。
著者自体が調査してるので、結構内容が濃い感じで面白かった。

第一の転換期は、子供 or キャリアチャンスで訪れることが多い。
このとき、短期的な経済基準で移住や離職などをすると片方の将来性に負荷がかかるため、経済バランスが崩れて戻すのが難しくなる。

復職しても37パーセントの収入減が待っている(4)。子育ての真っ只中にいるときには、乳幼児期はひどく長いように感じられるが、40余年のキャリア全体からすればその割合はほんのわずかだ。一方、離職することによる経済的な損失の合計は生涯で100万ドル以上にのぼると、さまざまな研究で算出されている。

カップルでどちらキャリアを優先するかが問題になるけど(これが一つ目の転換点)、

  • 一番手・二番手モデル(最初にどっちが優先なのかを決める)
  • 交代制モデル(途中で役割を交代する)
  • 二人とも一番手モデル(両方とも一番優先度が高い!)

という3つのモデルだと、両方とも同じ優先度の二人とも一番手モデルが一番満足度が高いという調査結果になったという話。
これは簡単ではないけど、二人とも一番手モデルをできているところは、オープンに話し合っていけるプロセスの存在がこの調査結果につながっているんじゃないという話とか面白かった。(大事なのは結果じゃなくて過程だよって話がちょこちょこあった)

キャリア<->カップルには依存関係にあるため、そこの依存関係を認めて整理しないと、いずれ問題が起きる(第一の転換点)。
また、第一の転換点で決めたバランスは時間で変化するため、それを放置すると依存関係が崩壊する(第二の転換点)。
時が経過して依存関係が崩れた時(定年、子供の巣立ち)に目標を見失うことがあり、自己発見と刷新に取り組む必要が出てくる(第三の転換期)。

少しサンプルに偏りを感じた(全員大卒みたいな所)けど、まだメタアナリシスできるほど研究が進んでない分野なんだろなと思った。
(ちょっと意外ではあるけど、二人とも一番手モデルが実際に行われるようになったのは近年だからなんだろなー)
著者自身がインタビュー調査してるので、研究手法についても最後の方に書かれて面白かった。

  • 無作為抽出はできないので、「理論的サンプリング」を原則としている
  • インタビューデータの分析は、「継続的比較法」でグラウンデッド・セオリー・アプローチを使ってる
  • サンプルがデュアルキャリアかどうかは履歴書でリファレンスを取っている

グラウンデッド・セオリー・アプローチ 改訂版を読んだことあったので、実際の研究はこんな感じでやってるのかーとわかってよかった。

Software Architecture Metrics

Software Architecture Metrics

章ごとに著者が異なる、メトリクスについてエッセイ集見たいな感じの書籍。

CI/CD、テスト、技術的負債、アーキテクチャ、DevOps、メトリクスの測定そのもの、保守性とかテーマごとに色々感じだった。
(アカデミックなものも混じっている感じ)

Building Evolutionary Architecturesで出てきた適応度関数(Fitness functions)が、この書籍では想像以上に出てきた。

Fitness functions)

Chapter 8. Progressing from Metrics to Engineeringより

まさにこの図のように、いろんなところでFitness functionsが出てきた。

Chapter 2. The Fitness Function Testing Pyramid: An Analogy for Architectural Tests and Metricsの、適応度関数とテストピラミッドの話が面白かった。

  • 適応度関数は、部分的なもの? 全体的なもの?
    • これは両方あって、それぞれ検証できるものが異なる
  • 適応度関数は、一時的ですか? それとも永続的ですか?
    • 有効性が設定によって制限されてるものは一時的、そうじゃないものは永続的(未期限)
  • 適応度関数は、静的なもの? 動的なもの?
    • コードカバレッジとかは静的
    • アクティブユーザー数に関係して動くような応答時間目標とかも扱う
    • これは動的。複雑ではあるけど、役たつケースあるので、ケースバイケース

この辺の適応度関数の具体的な話とかあんまり覚えてなかったので、面白かった。
進化的アーキテクチャは翻訳の方読んでなかったのでもう一度読み返そうかな。

Chapter 7. The Role of Measurement in Software Architectureは測定についての章。
そもそもなんで測定するかというと、継続的なアーキテクチャなどの難しい点が、時間を費やしたけど十分な作業ができたかが分からないことにある。
この解決方法として測定が使われる。

アーキテクチャのお作法をまねるよりも、測定をちゃんとしたほうが現在地がわかるよという話が良かった。

あと、測定の落とし穴という話が良かった。

  • 測定ではなくメカニズムにフォーカスしてしまう
  • 測定しやすいものだけ測定してしまう
  • ビジネス観点より技術にフォーカスしてしまう
  • 行動を起こさない
  • 有用性よりも精度を優先してしまう
  • 測定しすぎてしまう

Chapter 9. Using Software Metrics to Ensure Maintainabilityは、コードレベルの複雑性の測定の話。

  • LoC
  • Cyclomatic Complexity
  • Indent Depth
  • 変更頻度(Author)
  • Code Churn
  • Number of Author
  • Component Rank
  • LCOM4

とか色々なメトリクスの話が出てた。
その中でも循環依存の毒性とか循環参照(Circular dependency)は結構文字数あった気がする。
循環依存によって侵食されて全体が泥だんごになるような事例とかがあったのかなとか考えてた。

まあ、実際に改善する時のボトルネックになりやすい(いろんなツールが壊れたりとか並列実行を難しくしたりとか)ので、取り除くのがいいとは感覚的には分かってたけど、実際に複雑性を強くすることがわかって良かった。

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